レロンソン
今後アジア全体はどのような方向に向かえば良いと思われますか?
井口様
アジアは今、平和の報酬を受け取る時にいると思います。
インフラの整備、社会保障の充実などは、戦争が行われていないが故に享受できる平和の報酬です。経済の発展と、それに伴う政治の安定があって、生活の向上、治安の向上、文化の発展へつながっていきます。アジアは今この発展段階を迎えています。
ただ、貧困問題は依然としてあります。これの解決ができなければ、正の連鎖が生まれません。この点に関しては、国をはじめ、国際機関が果たさなければならない役割も大きいと思います。経済の発展が貧困を生みだしたといったロジックで「ラッダイト運動1」を起すのではなく、経済発展によって貧困問題を解消し、生活や治安が向上するという連鎖をつくる必要があります。
レロンソン
おっしゃるように国にとって貧困は多くの問題を引き起こします。もちろん貧困から多くの知恵や努力、情熱が生まれることもあります。まさに現在のベトナムは日本をはじめ多くの先進国から学び、経済発展しようとしています。ベトナムは今後、国の価値をさらに高めていくことが必要不可欠だと思います。
そのあたりの何か良いお考えがあればお教え願えないでしょうか?

井口様
国の高い価値ということは、国民の側面では、安心と安全が保障され、幸せと思える生活をし、将来の夢をもつことができること、国でいえば、経済的な発展と国際的な地位の確立だと言えるでしょう。
戦後、日本が経済発展できたのは、国の安全保障のコストが低かったことに加えて適切な産業政策によるところが大きいと思います。軽工業を発展させ、次に重工業、そして自動車や家電、IT分野といったハイテク産業発展への道のりを国がつくり、企業が努力して経済が発展し、国民も夢を実現し、国の価値が高まってきました。
今のベトナムの状況をベースにした産業政策策定に、日本の発展の歴史を参考にしていただければと思います。
日本としては、この産業政策をはじめとした経済・社会に関するソフトウェアの協力を行っていくことが重要です。
環境保全、省エネ、ロジスティクス、交通、社会保障、そして医療・健康、それから教育のソフトの開発が経済の発展を促進します。
ハードのみを提供するのではなく、ソフトウェアを提供し、それを活用していただくことが大切と思います。
我々も、ソフトウェアの提供を進めていきたいと思っています。
現在のベトナムの損害保険の市場規模は600億円ほどです2。まだ小規模ですが、今後必ず大きな発展を実現します。個人の損害保険のニーズは、ある程度経済発展にリンクして変化します。日本でも経験したことですが、国民1人当たりのGDPの発展に従って必要な損害保険が変わります。1人当たり1,000ドル未満では、損害保険のニーズはあまり強くありません。1,000ドルを超えたあたりから、建物に関する保険や家財保険などの財産の保険にニーズが生じます。そして、2,000~3,000ドル程度になると、自動車を所有する人が増え「自動車」に対する保険が、さらに増えると、傷害保険や所得補償保険などの「身体」の保険が必要と考えられるようになります。ベトナムでは現在、財産に関する損害保険が浸透しつつある初期段階にあります。当社はベトナムにいる日本人も顧客としていますが、日本の保険会社で、唯一ベトナムの個人や企業のリスクについての保険を取り扱うことができる会社の強みを活かして、ベトナムの損害保険市場の発展に役立つ事業展開をしていきたいと考えています。
レロンソン
ベトナムの国民一人あたりのGDPはようやく1,000ドルを超えたところです。これから損害保険が伸びていく市場の中で、日本の保険の安心感と信頼性は大きいと思います。
井口様
日越は今後、あらゆる形での交流が必要となり、それを急速にすすめることができる素地があります。アクティブリッジさんは既にその一端を担っておられます。これからもお互い連携をとりあっていければと思います。
レロンソン
当社も微力ながら日越相互発展の為に人材育成を柱に貢献していきたいと思います。本日は誠にありがとうございます。今後とも、ご指導、ご鞭撻のほどを何卒宜しくお願いいたします。